第22話 虚ろの中の
村の中で一番高い丘の上。
ここからだとゆるやかに広がってゆく平原を見渡す事ができる。
レナの好きな眺めだった。
その丘に立つ、木の下に、背の低い小さな墓標が立っている。
レナ=アシュフォード。
石碑に記された日付を見ると、わずか17年でその生涯を閉じた事になっている。
その墓標の隣に、彼女はいた。
第23話 Masquerade - 仮面の素顔 -
「チャイムさんのお金を、今晩の食事代分貸して頂けないでしょうか?」
「あたしもレイチェルも遠の昔に一文無しよっ!!」
「・ ・ ・ それは ・ ・ ・ 初耳ですね。」
ベットではレイチェルが頬を掻いている。
第24話 月の光を纏う者
思わず刺客達の動きが止まった。
丘の上に立つ、紅い剣を持った人影。
やけに大きく見える月を背に立ち、髪を風に揺らしている。
その琥珀の髪は、月の光を照り返し、銀糸の髪に見えた。
それを見た刺客の数人は、一つの可能性に気付き、凍りついた。
第25話 ブルー ・ バカンス
「あー、エアニス戻ってきたんだ。早かったわね。」
聞き覚えのある声にエアニスは振り向いて、そして言葉を詰まらせた。
目の前には予想通り、チャイムとレイチェル、トキの姿があった。
しかし、チャイムとレイチェルが水着姿だという事は、エアニスの予想外であった。
第26話 求め与えられるもの
「過去はどうあれ、未来があれば、これからいくらでも笑っていられるわっ。」
レイチェルを元気づけるように、チャイムは拳を振り上げる。
「未来があれば・・・ですか。そうかもしれませんね。」
ここで4人は言葉を切り、波の音を聞きながら日の沈む水平線に目を向けた。
第27話 傷跡
ガリッ
エアニスが無表情で噛み砕いた氷の音に、トキとレイチェルが
ビクリと肩を震わせる。
エアニスをからかっていたトキも、エアニスが発する謎のオーラに押され、
大人しく注文した食事を待つ事にした。