第32話 デーモン
空間の裂け目から放逐されたそれは、
エアニス達から少し離れた場所に地響きを立てて降り立った。
チャイムとレイチェル、トキとクラインまでも、驚愕の表情を浮かべ、
エアニスだけが、憮然とした表情で"それ"を見上げる。
第33話 今ここにいる事を
「人の心は理屈じゃないんでしょ?」
少しだけ、悪戯めいた笑顔を見せ、チャイムはエアニスが言った言葉を
そのまま返してやった。
その小悪魔めいた微笑みに、エアニスははなじろむ。そして
「・・・すまん。」
苦笑し、その一言だけをエアニスは返した。
第36話 夕陽の丘の少女
「・・・悪い、邪魔したな
気にせず、続けてくれ。」
ザードが頭を掻き、そっぽを向くと、
「そう言われても、改めて知らない人の前で歌うなんて
恥ずかしいですよ。」
そう言って、少女は困ったような顔で笑った。
見知らぬ人間に向ける表情にしては、屈託のない笑顔だった。