『誕生日おめでとうっ!!』 クラッカーを持ったゲイルと、料理を運んでいるレナが、 声をはもらせ豪華に飾られた食堂にザードを招き入れた。
両手を縛られた非力な自分に出来る事は無く、 レナは複雑な思いでゴードンの襟元を 睨みつけることしか出来なかった。
「・・・・・俺が昔居た機関の同僚だ。 久しぶりだな、オルレイ。 」 ゲイルの言う通り、オルレイと呼ばれたスーツの男は、 幽霊にでも出会ったかのような、 驚きと焦りの表情を見せている。
「お前・・・それ、は・・・・!!?」 デミルが気付き目を剥くと同時に、ザードは剣の柄で、 首飾りに収まった石を叩き割った。
「ゲイルさん!!もうやめて!!」 レナはゲイルの背中から、 その両手に握られていた銃を押さえつける。
森の中に銃声が響く。 ザードの胸元に硬い衝撃が走り、息が詰まる。 痛みの元へ手を伸ばすと、 ローブの下に着ている防弾服に 焼けた銃弾が食い込んでいた。
「シャノンに礼を言わなきゃな。」 「そうですね・・・。」 レイチェルの帽子をぽん、と叩き、 エアニスは煙草の煙を吐き出した。
「・・・おい、チャイム。」 エアニスは、真横に居るチャイムの名を呼ぶ。 「なによ?」 全く気付いていない様子のチャイムに、エアニスは言うべきかどうか、暫し眉間にシワを寄せて考える。
突然カップが浮き上がり、エアニスの目の前から消えた。 正確に言うと、カップを乗せたテーブルがひっくり返され、 その上に乗っていた物がすべて宙に放り出されていた。
レイチェルの声は、怯えの色を含んでいた。 視線も、トキの瞳からは外れ、トキの足元を見ている。 トキは、そんなレイチェルの様子に、僅かながらショックを感じていた。